3Dスキャン知識

3Dスキャンの歴史:フォトグラメトリから携帯型スキャナーへの軌跡

3Dスキャンの歴史:フォトグラメトリから携帯型スキャナーへの軌跡

3Dスキャンの歴史を紐解くと、それは単なる技術の歩みではなく、「目の前の世界をいかに精密にデジタルへ写し取るか」という、人類の飽くなき挑戦の記録であることに気づかされます。

19世紀半ば:すべての始まり「フォトグラメトリ」

3Dスキャンのルーツは、驚くほど古くまで遡ります。その原点は、1850年代にフランスの軍事技術者エメ・ローセダが確立した「フォトグラメトリ(写真測量)」にあります。「フォトグラメトリの父」と称される彼は、重なり合う複数の写真を解析することで、地形や構造物の立体的な形状を復元できることを証明しました。

19世紀後半になると、この技術は地図製作や測量、特に軍用地図の作成において不可欠なものとなりました。従来の地上測量に比べ、写真を利用することで広範囲を圧倒的なスピードでカバーできるようになり、正確な地図作りに革命をもたらしたのです。

1950年代〜1970年代:産業計測という「実用」の時代

現代につながる「物体スキャン」の歴史は、1950年代にイギリスのフェランティ社が開発した三次元測定機(CMM)から始まります。これらは、複雑化する航空宇宙や自動車部品の精度を担保するために生まれた「物理プローブ(接触式)」によるシステムでした。職人の勘ではなく、厳格な数値管理によって品質を保証することが当時の最優先課題だったのです。

1970年代に入ると、防衛や航空宇宙の分野で「レーザーによる距離測定」の実験がスタートします。狙いは、壊れやすい物体や危険な場所にある対象物を「触れずに測る」こと。当時の技術では非常に高コストで用途も限られていましたが、これが今日の「非接触型3Dスキャン」の礎となりました。

1980年代〜2000年代:デジタルアーカイブとしての活用

現代の3Dスキャン・ブームの火付け役となったのは、1993年にベン・カシラが設立したサイラ・テクノロジーズ(Cyra Technologies)です。彼の情熱の源は「歴史の保存」にありました。失われゆく古代遺跡を、デジタルの力で永遠に残そうとしたのです。彼らが開発した地上型レーザースキャナーは、巨大な構造物をスキャンできる初の実用的なシステムとなりました。

2001年、ライカ ジオシステムズがサイラ社を買収したことで、大きな転換点を迎えます。それまで文化遺産の保存という「特殊な用途」だったスキャン技術が、建設や測量といった「日常的な現場」へと統合されていきました。手作業のメジャー計測がデジタルスキャンへと置き換わり、現場の効率化と人的ミスからの解放が進んだのです。

同時期、FAROやTrimbleといった企業も参入し、3Dキャプチャを設計・製造ワークフローの一部へと昇華させ、産業界全体の生産性を押し上げました。

2000年代:映画・ゲーム、そしてエンタメへ

2001年、アフガニスタンでバーミヤンの大仏が破壊されたショッキングな出来事をきっかけに、考古学の世界ではLiDAR(ライダー)を用いたデジタルアーカイブ化が加速しました。ポンペイやアンコールワットといった遺跡が、風化や紛争で失われる前にデジタル空間に「避難」し始めたのです。

一方、エンターテインメント業界もこの技術に飛びつきました。「スター・ウォーズ」のILMなどのVFXスタジオは、小道具や俳優本人をスキャンして「デジタル・ダブル」を作成。映画に圧倒的なリアリティをもたらしました。

2010年、Microsoftから「Kinect」が登場すると、潮目が変わります。本来はゲーム用のセンサーでしたが、ハッカーや開発者たちがこぞって「自作3Dスキャナー」へと改造。これが、メイカーズ(ものづくり愛好家)たちの間で3Dスキャンが爆発的に普及するきっかけとなりました。

2010年代〜現在:技術の「民主化」が加速する

ものづくりコミュニティでは、コスプレの小道具やミニチュア制作のために、より手軽なツールが求められるようになりました。その中で、フォトグラメトリを自動化する「OpenScan」のようなDIYプロジェクトが誕生します。

時を同じくして、Revopointのようなスタートアップが登場。「高性能・ポータブル・低価格」のバランスを実現したことで、3Dスキャンはもはや一部の専門家だけのものではなく、個人クリエイターや中小企業、教育現場でも当たり前に使えるツールとなりました。

ソフトウェア面でも、MeshLabやCloudCompareといったオープンソースのツールが充実し、特定のメーカーに縛られない自由な編集環境が整いました。

現在、ホビー向けの普及が進む一方で、プロ向けのスキャン技術もさらなる高みへ到達しています。CreaformやArtecといった企業は、ミクロン単位の精度とスピードを両立。ハンドヘルド型のレーザー・構造光スキャナーは、今や製造、医療、産業デザインの現場で欠かせない「標準装備」となっています。

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